ブックサンタになった。
※イブまでやってるらしいよ!!!
知る
皆さんは「ブックサンタ」という取り組みをご存知だろうか?
NPO法人チャリティー*1サンタによって2017年から始まった活動で、困難な状況下にある子ども達に本をプレゼントできるというものだ。
参加方法はいくつかあり、本を寄付したり、運営費用をCF*2したり、サンタに扮して実際に本を届けに行ったりできるらしい。
特に本を寄付する場合は「ブックサンタです」と名乗ってお会計するだけでその後一切合切の処理をすべて書店が担ってくれるというお手軽親切設計になっている。一般参加サンタの支払額は本の代金だけなので、結構な運営費がかかってるんじゃないだろうか。
オンライン会議中にネットサーフィンをしていたサボリーマン*3の俺は、この活動に参加した一般サンタの日記をnoteで読み、さっそく便乗することにしたのであった。
冒険失敗
仕事終わりにウキウキで書店へ向かった。
俺が買おうと思っていた本はこれ。「冒険図鑑」。
物心ついたときから家にあった本で、登山・キャンプ・釣りのようなアウドドアアクティビティから地図の読み方・防災対策まで、とにかく男児の冒険心をくすぐる一冊。クソガキのバイブルと言っても過言ではない。*4
大人になって読んでみれば、子供向けに分かりやすく噛み砕かれた入門的な内容だなぁと感じるものだが、幼い俺少年にとっては渋い挿絵と明朝体がものすごくカッコ良く感じられた。
今でも本棚に並んでいる。
初版は1985年と、もはやキッズどころか俺すら生まれていない時代だが、この本の「良さ」は時代を経ても変わらないようで、バリバリ現役で刷られているのをリサーチ済みだった。
…が、しかし。
製造されているかどうかと店頭に置かれているかどうかは別。
端末で探しても、俺のバイブルは「店頭在庫なし×」だった。そこになければ無いですね。*5
選ぶ
しょうがないので、冒険図鑑に匹敵するようなクソガキのバイブルを探すことにした。
良さそうだな、と思ったのはこれ。学研の「キャンプのずかん」。
冒険図鑑に比べればかなりマイルドな風合いにはなるが、十分にワクワクするんじゃないかと思った。
…が、すんでのところで気づく。
本を贈られるのは、様々な原因から困難な状況にある子ども達。
そんな子たちがこの表紙を見て、この本を読んで、どう思うのか。「行ってみたい、やってみたいが止まらない!」状態になったところで、体験できるものはあるのか。
クソ無神経自己満足アラサー(自称サンタ)*6になるギリギリ手前で天啓を受け取り、本を選び直すことにした。
結局選んだのはこれ。「はじめての自然科学366」。
自然科学の"さわり"的な知識が366日分載っていて、この本だけで深くは学べないんだけど、いろんな方向の興味に気づくキッカケになるかなと思って選んだ。
紆余曲折あったけど、我ながら良い着地点だったように思う。
噛みしめる
レジで店員さんに「これ、ブックサンタで…」と伝えたところ、「あ、はい…」と同様のテンションで受け取られた。入射角=反射角である。
活動参加特典としてステッカーをもらった。
こうやって全国で購入された書籍を集めて、管理して、適切に分配するんだから、かなりの運営費がかかるだろうに、ノベルティまでくれるなんてありがたい話だ。
「喜捨」という概念がある。仏教由来の言葉で、「施し」という行為は力関係の優位を得たり見返りを求めるものではなく、むしろ①功徳を積む機会を貰っている、あるいは②物や金銭という「俗」から離れられるという考え方だ。*7
俺はスーパー俗人間なので②の考え方には同意できないが、①については今回非常に同意できた。*8
子どもに本を買ってあげるなんて行為は、アラサー独身男性にとっては自分のためにブランド品を買うことよりもよっぽど難しい。そんな機会がどこにも無いからだ。
仕事をして、自分の私利私欲を満たすために浪費して、を繰り返していると、だんだんと世界との繋がりが希薄になってくる。自分の存在価値が分からなくなってくる。
「ブックサンタ」は、そんな俺に「子どもを喜ばせる機会」を提供してくれたわけだ。
ありがとうブックサンタ。アラサー独身に存在価値をプレゼントしてくれて。
ブックサンタ公式サイト曰く、期間はクリスマスイブまでらしい。
リアル書店じゃなくてオンラインで購入することもできて、この場合は年代別で「サンタにおまかせ」という便利な商品も存在する。つまり金は出すから選定はプロにおまかせというもの。いいじゃんこれ(知らなかった)。
本、カラー大判とかじゃなければ、高くても¥2,000ぐらい。
自分のための¥2,000とはまた違った充足感が得られる。俺サンタも嬉しい。どこかの子どももたぶん嬉しい。
特別な誰かのためにプレゼントを買う人もいるかもしれないけど、そうじゃない人も誰かのためにプレゼントを買ってみませんか?